対象環境: Claude Code(デスクトップアプリ版・CLI版)、Windows x64。claude.ai ウェブ版・モバイルアプリは対象外です。
SNSで「Claude Codeが完全に自己改善可能になるプラグインが海外でバズ」という投稿が拡散しています。 名前は claude-smart(ReflexioAI製)。「指摘を再利用できるルールに自動変換」「トークン消費を約70%削減」という触れ込みです。
本記事では、GitHub の一次ソースをもとに内容を検証し、Windows 環境への実際のインストール手順まで記録しました。
検証結果サマリー
| SNS投稿の主張 | 検証結果 |
|---|---|
| 指摘を「再利用できるルール」に自動変換する | ✅ 正確。ライフサイクルHookで自動抽出 |
| 「npm test --run を付けろ」級まで具体化する | ✅ 正確。Preference / Skill の2層構造 |
| プロジェクトを跨いで学習を持ち回せる | ✅ 正確。グローバルPlaybook + プロジェクトProfile |
| トークン消費を約70%削減 | ⚠️ 数値が異なる。GitHubの実測値は「~50% more guidance retained」「~2.7× quality向上」 |
| 「完全に自己改善可能」 | ⚠️ 誇張。正確には「修正をルールに変換してPlaybookに蓄積」する仕組み |
検証①:実在するか
実在します。
- リポジトリ: github.com/ReflexioAI/claude-smart
- ライセンス: Apache 2.0
- バージョン: 0.2.31(2026年5月時点)
外部APIコールは一切なく、すべてのデータはローカルに保存されます(~/.reflexio/)。
検証②:仕組みの本質
Memory との決定的な違い
Claude Codeには標準でMemory機能がありますが、claude-smart はまったく別のアプローチを取ります。
従来のMemory: 「何が起きたか」を保存 → 記録
claude-smart: 「次にどう動くか」のルールを生成 → 行動変容
ユーザーの指摘・修正をHookが自動キャプチャし、セッション終了時(または /claude-smart:learn 実行時)に構造化されたルールとして抽出します。
3層のデータ構造
| 層 | スコープ | 内容 |
|---|---|---|
| Preference | プロジェクト固有 | このリポジトリでの作業スタイル |
| Skill | グローバル | どのプロジェクトでも使える汎用ルール |
| Session Buffer | 一時 | 現在のセッション中の操作ログ |
Playbook(SkillとPreference)は蒸留・重複排除されるため、プロジェクトが育っても数十〜数百トークンに収まります。
設定される Hook の種類
インストールすると以下の6種のHookが自動追加されます。
| Hook | タイミング | 役割 |
|---|---|---|
| SessionStart | Claude Code起動時 | バックエンド自動起動 |
| UserPromptSubmit | ユーザー入力のたびに | 入力を記録 |
| PreToolUse | Edit / Write / Bash の前 | 操作前の文脈を記録 |
| PostToolUse | 全ツール実行後 | 操作結果を記録 |
| Stop | 応答終了時 | ルール抽出・Playbook更新 |
| SessionEnd | セッション終了時 | セッション総括・クリーンアップ |
デメリット・懸念点
課金への影響
claude-smart 自体は無料で、外部APIへの課金は発生しません。
ただし、蓄積したPlaybookルールを毎セッション開始時にコンテキストへ注入するため、Claude Codeのトークンを消費します。Claude Code Proプランなら実質影響は軽微です。
システムリソース
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| RAM常駐量 | 200〜400MB程度(FastAPI + SQLite + ONNXモデル) |
| 初回ダウンロード | 約86MB(all-MiniLM-L6-v2 埋め込みモデル) |
| ツール実行ごとの遅延 | Hook通信により数十ms追加 |
| 占有ポート | 8071(バックエンド) |
動作が悪化したら
誤った修正がルール化されると逆効果になります。その場合は /claude-smart:clear-all でリセットできます。
Windows 環境での注意点
対応状況
| 環境 | 対応状況 |
|---|---|
| Windows x64 | ✅ 完全対応 |
| macOS Apple Silicon(14+) | ✅ 完全対応 |
| Intel Mac / macOS 13以前 | ❌ 非対応 |
| Windows ARM | ❌ 非対応 |
Python バージョン
claude-smart は Python 3.12+ を要件としています。uv がインストール済みであれば、uvx 経由でインストールすることで uv が自動的に必要なバージョンを管理します(システムの Python は変更されません)。
実際にインストールした(実践レポート)
Step 1:uvx でインストール
uvx claude-smart install
141パッケージがインストールされ、プラグインが有効化されました。
~/.claude/settings.json の enabledPlugins に claude-smart@reflexioai が追加されます。
{
"enabledPlugins": {
"claude-smart@reflexioai": true
},
"extraKnownMarketplaces": {
"reflexioai": {
"source": {
"source": "github",
"repo": "ReflexioAI/claude-smart"
}
}
}
}
Step 2:シンボリックリンクの修正(Windows 特有の対処)
インストール完了後、以下の警告が表示されました。
WARNING: failed to set ~/.reflexio/plugin-root symlink — slash commands may not resolve
~/.reflexio/plugin-root に空のディレクトリが残っており、シンボリックリンクを上書きできなかったのが原因です。Git Bash の ln ではパスが長すぎてシンボリックリンクを作れないため、PowerShell で対処しました。
$target = "C:\Users\<username>\.claude\plugins\cache\reflexioai\claude-smart\0.2.31"
$link = "$env:USERPROFILE\jupyter\.reflexio\plugin-root"
Remove-Item $link -Recurse -Force
New-Item -ItemType SymbolicLink -Path $link -Target $target
注意: Bash のホームディレクトリ(
$HOME)がC:\Users\<username>\jupyter\になっている環境では、.reflexioの保存先がC:\Users\<username>\jupyter\.reflexio\になります。環境によって異なる場合があります。
Step 3:CLAUDE.md にリセットルールを追加
動作が悪化した際に即座に対応できるよう、グローバルの ~/.claude/CLAUDE.md にトリガーワードを追加しました。
## claude-smart リセット
ユーザーが以下のような言葉を発した場合、即座に /claude-smart:clear-all の実行を提案すること:
- 「動作がおかしい」「変なルールが入った」「おかしくなった」
- 「リセット」「初期化」「claude-smartをリセット」
- Claude が同じ間違いを繰り返していると感じられる場面
リセット後は /claude-smart:learn で再学習を促す。
Step 4:Windows ログイン時の常駐化(Task Scheduler)
バックエンドはデフォルトでセッション間も起動したままになります(CLAUDE_SMART_BACKEND_STOP_ON_END=0)。
PC再起動後も自動で起動するよう、タスクスケジューラに登録しました。
# 起動用バッチファイルを作成
$batPath = "$env:USERPROFILE\.claude-smart\start-backend.bat"
$batContent = @"
@echo off
"C:\Program Files\Git\bin\bash.exe" -l -c "/path/to/backend-service.sh start" > "%USERPROFILE%\.claude-smart\startup.log" 2>&1
"@
Set-Content -Path $batPath -Value $batContent -Encoding ASCII
# タスクスケジューラに登録
$action = New-ScheduledTaskAction -Execute $batPath
$trigger = New-ScheduledTaskTrigger -AtLogOn -User $env:USERNAME
$settings = New-ScheduledTaskSettingsSet -ExecutionTimeLimit (New-TimeSpan -Minutes 2) -StartWhenAvailable
Register-ScheduledTask -TaskName "claude-smart-backend" -Action $action -Trigger $trigger -Settings $settings -Force
インストール後の全体構成
Claude Desktop App(Windows)
├── Plugins(グローバル)
│ └── claude-smart@reflexioai → Hooks 6種を自動追加
├── バックエンド(常駐)
│ └── localhost:8071(FastAPI + SQLite + ONNX)
├── データ
│ ├── ~/.reflexio/reflexio.db → 学習データ(SQLite)
│ └── ~/.claude-smart/ → セッションバッファ
└── Task Scheduler
└── claude-smart-backend → ログイン時に自動起動
主なコマンド
Claude Code セッション内で使えるスラッシュコマンドです。
| コマンド | 内容 |
|---|---|
/claude-smart:show |
蓄積済みルール・プリファレンスを表示 |
/claude-smart:learn [note] |
今のセッションを即学習 |
/claude-smart:clear-all |
全データをリセット |
/claude-smart:restart |
バックエンドを再起動 |
/claude-smart:dashboard |
ブラウザで管理画面を開く |
まとめ
claude-smart は SNS 投稿の主張通り実在するオープンソースのプラグインです。「完全に自己改善」「70%削減」は誇張ですが、修正をPlaybookルールとして構造化し、次のセッションから行動変容させるという仕組み自体は実用的です。
Memory が「記録」なら、claude-smart は「教育」に近いアプローチです。
Windows 環境では Python バージョンと Git Bash のシンボリックリンク制限に注意が必要ですが、uvx と PowerShell で回避できます。
動作が悪化したときは /claude-smart:clear-all でリセット、/claude-smart:learn で再学習という運用で対応できます。