SEMrushのKeyword Magic Toolで確認すると、「ai seo 対策」は月間検索ボリューム320・キーワード難易度24%、「seo 対策 ai」は月間260・難易度20%で推移している(2026年8月25日取得、データベース:日本)。検索する側は「AIが絡んだ今のSEO対策で、具体的に何をすればいいのか」を知りたがっている。
AIの台頭からSEO対策の本質と目的を整理した記事では、SEOがユーザー理解のための軸であるという概念面を扱った。この記事はその続きとして、実務でどこに手を動かすかに絞って書く。
AI検索でまず変わったのは「答えの受け取り方」
Googleは2024年8月、AI Overviews(AIによる概要)の提供を日本でも開始した。検索結果の最上部に、AIが複数のサイトを要約した回答が表示される仕様は、すでに日本の検索結果に組み込まれている。
この変化は数字にも出ている。ある調査では、AI Overviewsで引用されたページのうちGoogle検索で上位10位以内に入っていた割合は、調査初期の76.1%から7か月後には38%まで下がったと報告されている。順位を持つページと、AIに引用されるページが、少しずつ別のものになりつつある。
ChatGPTの引用ロジックについては、AirOpsとKevin Indigの一次データを扱った記事で詳しく書いた。要点だけ繰り返すと、ChatGPTが引用するページの多くはGoogle検索の取得結果から選ばれており、取得順位1位のページは58.4%の確率で引用される一方、10位では14.2%まで落ちる。つまり検索順位はAI引用の前提条件であり、順位を無視して引用だけを狙う設計は成立しにくい。
そのまま有効な施策・効果が落ちた施策・新しく必要な施策
実務で判断に迷うのは「何を今までどおり続け、何をやめ、何を新しく足すか」の仕分けだ。現時点でわかっている範囲で整理する。
| 区分 | 該当する施策 | 理由 |
|---|---|---|
| そのまま有効 | 検索意図に合った見出し設計、内部リンクの整理、E-E-A-Tを示す著者情報 | ChatGPTの引用がGoogle検索経由で行われる以上、検索順位を左右する要素は引用にも効いてくる |
| 効果が落ちた | 網羅性だけを追った長文、結論を最後に置く構成 | ChatGPTの分析では、1つの記事が全サブクエリを100%カバーするより、26〜50%程度の的確な回答の方が引用率が高いという結果が出ている。結論を先に出さない構成は、引用の44%が集中するページ前半の恩恵を受けにくい |
| 新しく必要 | 見出しをクエリの疑問文に近づける、パッセージ単位で完結させる、一次情報や実測値の明記 | AIは記事全体ではなく特定の段落を抜き出して回答を作るため、段落単体で意味が通る書き方が求められる |
AIに引用されるための具体的な打ち手
見出し直下に結論を置く
H2やH3の直後の1〜2文で、その見出しが答えるべき問いに結論から答える。背景説明や前置きを先に置く構成は、AIが抜き出す対象になりにくい。先述のChatGPT引用データでも、ページ上位30%からの引用が全体の44.2%を占めるという結果が出ている。
1記事1問いを意識する
1つのH2やH3で複数の問いに同時に答えようとすると、AIにとって「どの部分がどの質問への答えか」が曖昧になる。見出しと本文を1対1で対応させ、答えを分割する方が、パッセージ単位での引用には向いている。
構造化データは残す。ただし過度な期待はしない
GoogleはFAQのリッチリザルト表示を2026年5月7日に終了しており、Search Consoleでの関連レポートも同年6月に、APIサポートも8月に終了する予定になっている。検索結果でのFAQ表示を目的にFAQPageスキーマを新設する意味は薄れた。
一方で、FAQPageのマークアップ自体は無効なものではなく、既存の実装をそのまま残しても問題は起きないとGoogleは説明している。AIがページの内容やエンティティを解析する際の補助情報として使われる可能性は残るため、リッチリザルトを狙う目的では新設せず、既存の構造化データはそのまま維持する、という扱いが実務上は妥当だろう。
一次情報と実測値を出す
AIが要約できる一般論は、誰が書いても同じ結論になる。この記事の冒頭で示したSEMrushの実測値のように、自社が実際に確認した数値や事例を明記することが、AIにとっても読者にとっても引用する理由になる。Google Discoverへの掲載を扱った記事で触れた「弊社の事例では2ヶ月ほどで流入が発生した」といった一次体験も、同じ考え方に基づく。
llms.txtは今のところ優先度を上げなくてよい
llms.txtはサイトの構造をAIに伝えるためのMarkdownファイルとして提案された仕組みだが、2026年6月にGoogleがSearch Central経由で公開したガイドラインでは、Google検索はllms.txtを利用していないと明記されている。ChatGPTやPerplexityのクローラーも、llms.txtを優先的な入力として扱っていることを公式には表明しておらず、30万ドメイン規模の統計分析でも設置の有無と引用頻度の間に明確な相関は見られなかったという報告がある。設置コスト自体は低いため試すこと自体は妨げないが、現時点で優先して工数を割く施策ではない。
AIで記事を量産することが評価されない理由
AIに引用される記事を書こうとして、AIに大量の記事を書かせる方向に進むと、逆効果になりやすい。理由は2つある。
1つ目は、AI生成文章そのものの検出可能性だ。AI検出研究では、文章の語のつながりの予測しやすさ(Perplexity)と、その変動の大きさ(Burstiness)という指標が使われており、人間の文章は変動が大きく、AIの素の出力は変動が小さい傾向が報告されている。日本語への数値の直接適用は確認されていないが、「語尾が単調」「文の長さが揃いすぎている」といった実務者の経験則は、この傾向と方向性が一致する。
2つ目は、Google自身が有用性の判断基準として掲げる「誰が」「どうやって」「なぜ」作ったかという問いだ。専門性のない領域への参入、更新シグナル狙いの量産、文字数目標に合わせただけの執筆は、この3つの問いのいずれにも弱くなりやすい。AIに引用されるための構造を整えても、中身が一般論の言い換えにとどまっていれば、AIにとっても読者にとっても代替可能な記事のままになる。
実務での落としどころは、AIを執筆の補助として使いながら、一次情報・実測値・自社の判断根拠といった、他では書けない部分は人が書き足すという分担だろう。
まとめ|まず順位、次に精度、最後に構造
実務での優先順位は次の順になる。
- まずGoogle検索での順位を維持する。ChatGPTの引用も検索順位を前提にしている
- 次に見出しと本文をクエリの問いに直接対応させ、結論を前半に置く
- 最後に構造化データやllms.txtといった補助的な施策を検討する。ここに最初から工数をかけない
AI検索は青いリンクを介さない露出を増やす一方、引用が即座に流入につながるとは限らないという指摘もある。順位・引用・流入を別々の指標として見ながら、どこに手を入れるかを判断する体制が、これからのSEO対策の実務になる。
参考資料
- The Fan-Out Effect — AirOps
- The Science of How AI Picks Its Sources — Kevin Indig / Growth Memo
- Google AI Overview Citations From Top-Ranking Pages Drop Sharply — Search Engine Journal(Ahrefs調査、86.3万キーワード・400万URL分析)
- Google検索の「AI Overviews」が日本でも提供開始 — 窓の杜
- Google、ウェブ検索の「AIによる概要」を日本などでも提供 — INTERNET Watch
- Google Drops FAQ Rich Results From Search — Search Engine Journal
- Google、llms.txtのガイドラインを公開 — ONEDER
- What is perplexity & burstiness for AI detection? — GPTZero
- Creating helpful, reliable, people-first content — Google Search Central